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yamakanakanro

色で魅せるーー作品のイメージから作り出す装丁ーー

はじめまして、海底書房のゆらと申します。

テキレボ初参加、主に現代日常ものを執筆している個人サークルです。どうぞよろしくお願いいたします。 私は常々、本(電子書籍ではなく、実物の本)の魅力は装丁にあると考えております。

ページを繰る楽しさはもちろん、本の重さや紙の手触り、表紙のデザインなどが与えてくれる情報は膨大で、本を手にする喜びの一つであると思います。私自身本を制作するにあたり、作品のテーマやイメージが伝わるような装丁を主に色彩的な面から目指してまいりました。


本記事では、今回のテキレボEX2に合わせて発行した『紫陽花の咲く頃に』と『踏切前の喫茶店』の装丁についてお話ししたいと思います。

特殊加工も少ないごくささやかなものですが、何かのご参考になれば幸いです。


この2作品です。


 


◯『紫陽花の咲く頃に』

画像左側の既刊『雨色ドロップス』の第二版として発行しました。

タイトルの変更、収録作品の加筆修正や書き下ろし等を加えましたが、「雨にまつわる短編集」という基本的なコンセプトは引き継がれております。

初版はオパール(浅黄色)を表紙に使用したコピー本で、その淡く柔らかな水色が気に入ったことでこの本が生まれました。

第二版はオンデマンド印刷によるフルカラー表紙ということで、背景色を青系のグラデーションで塗りました。雨上がりの薄明るい空の色や、青い紫陽花の色をイメージしております。また、クリアPP加工によって雨に濡れているような艶感を演出できました。


一番のこだわりはタイトルの箔押しです。

角度によって虹色に光るホログラムプレーンの箔が、雨の持つ様々な表情を表しています。漢字の一部を雫に変えるなど、今回はロゴのようなものにも少し挑戦してみました。



裏表紙のデザインは第一版とは異なり、背景色は白、タイトルにもある紫陽花のイラストを追加しまし た。紫陽花はフリー素材をトレース→線画にして、自分で彩色したものです。上で示したような手順で色を重ねることで、結構それらしくなったのではないかと思います。

色の話からは逸れますが、あらすじ等に使用したフォントははれのそら明朝です。雨の話なので、フォントは晴れにしてみました。



◯『踏切前の喫茶店』


既刊『踏切アラカルト』の第二版です。

『紫陽花の咲く頃に』と同様にタイトル変更や加筆修正、書き下ろし等はありますが、「踏切を舞台にした短編集」であることは変わっておりません。 初版の表紙はファーストヴィンテージ(スカーレット色)に墨一色で印刷し、私が個人的に抱いている踏切の不穏さを表現しました。

第二版では撮影した空の色を加工することで、夜明けのようで夕暮れでもあるような、現実感のない幻想的な色にしました。マットPPの質感により、空の色の淡さが強調されています。なお、踏切の画像も自分で撮影したものの背景を削除して使用しています。

『紫陽花の咲く頃に』とは異なり、こちらは表紙と裏表紙の画像が繋がっております。間に背表紙の黒が入ることで、引き締まった印象です。


















図らずも背表紙が白と黒になり、並べると可愛らしい新刊たちです。


 

以上、長々と語ってしまいましたが、私の場合作品のイメージやモチーフがはっきりしていることが多いため、オンデマンド印刷であってもコピー本であっても色に注力した装丁になっております。

現時点では「色」が一番分かりやすくかつ表現しやすいため色に頼っておりますが、今後はイラストやタイトルロゴなどデザイン的な面にもこだわってみたいと思います。自分のイメージや理想が形になると楽しいですね。 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。それでは皆様、よき装丁ライフを。 Twitter→ https://twitter.com/tsukinose_yura webカタログ→ https://t.co/cjeeLs4J0l?amp=1

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