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絵と文の物語



射光堂』は絵の担当の熊八木ちさと、文の担当の浮川千裕の二人で、物語を創作している二人組です。

今回は装丁まとめという素敵な企画に参加させていただきました。参加者の中でも、特に絵を使った作品が多いと思いますので、今回は、絵を主題にした2つの本、画集『花に宿りて』と挿絵本『ひかりさすところ』の装丁や扉、小ネタについて、ご紹介いたします。



 

『花に宿りて』


まず、表紙と裏表紙について。


B2の大きな水彩画を全面に使っています。用紙はヴァンヌーボVGスノーホワイト150kgで、水彩の発色が良く、手触りも気持ちいい紙です。


題字はイラレで加工したものです。イラストを文字の形で切り抜いて、色を加工(やり方を忘れました。。)して、かなり特殊な透け感を出してみました。



こちらは表紙裏(左)と扉(右)のページ。


表紙裏も、表紙に使ったイラストをタイトルの文字の形に切り抜いて、色を単純化する加工をして、表紙と雰囲気を変えています。少し柔らかい風合いにして、物語の導入といったイメージです。


扉のページには、本のタイトルにもなっている、平安時代の歌人・大江匡房の和歌を引用しています。連作の蝶(スギタニルリシジミ)の絵を並べています。昔の芸術家はどんな風に花と蝶を見ていたんでしょうね。

この扉のページをめくると、普段目にしている身の回りの風景から、少し違う視点に移っていくようなイメージです。



最後に奥付を。


扉に掲載した和歌を、自分たちなりに現代語訳して、再度載せています。

短い詩の下に、羽ばたく様々な蝶と若い女性の水彩画を配置しています。


サナギのような若い女性の目線の先に、ボロボロのモンシロチョウが飛んでいる。最後、本を閉じて、蜜色の空は夜の闇に染まっていく。という感じです。



 

『ひかりさすところ』


ひかりさすところは、文章と絵が同じくらいの比率で物語を描いている挿絵本です。この本も一匹の蝶と一輪の花の物語になっています。様々なモチーフを扱っていますが、特に好きな蝶のミヤマカラスアゲハとカワラナデシコのお話です。


こちらの表紙・裏表紙も一枚の水彩画を使っています。用紙も同じ、ヴァンヌーボVGスノーホワイトを使用していますが、こちらはより物語性が強いので、表紙で始まった物語が、裏表紙で終わる関係になっています。つまり、裏表紙はラストシーンの後の、エピローグとなっています。


本を閉じた後にも、「彼らは野山のどこかに実在して、確かに生きている」、そんな風に妄想を楽しんでもらえたらと思っています。



次に、表紙裏(右)のページの小ネタを紹介します。


物語本編に直接関係していないのですが、植物の種を運ぶ(食べる)動物を描いています。この種子と動物の短い短いお話も裏表紙裏に続いていて、そこから新しい物語の芽が出てくるようなイメージになっています。


最後に奥付です。


この本に登場した生き物をラフなイラストで紹介するページになっています。スタッフロールといったイメージで、ジャッキー映画でいうNG集ですね。

特に特別な生き物ではなくて、近所の山にいる、普通の生き物たちです。

「近所の山」という、とても貴重な環境が残されている。そんな小さなことですが、とても大切なことに思います。



 

射光堂Webカタログはこちらになっています。


特集記事に掲載した2つの作品の他にも、様々な形の本をご用意しております。


装丁に焦点を当てた、とても素敵な企画で、こうして自分たちの本の外側を改めて振り返ることができ、感謝しています。

装丁って、本当にいいものですね。


長々とした記事になってしまいましたが、絵と物語のお店『射光堂』を、どうぞよろしくお願いいたします!

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