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yamakanakanro

夢追う少女と心に傷を負った青年が、東京で出逢ったとき……。

 「癲狂恋歌」というのは、著者の大坪命樹と愛妻の藍崎万里子が、まだ二人が若い頃に実際に東京で出逢っていたら? と言う設定で書き始めた小説です。二人とも若いときに府中と国分寺に住んだことがあるので、そのような話もロマンチックかと、著者は考えました。実質上、妻に捧げた小説になります。


 

 そういう設定なので、二人とも精神病に罹ることになります。精神病に罹りながらも、二人とも小説家を目指す。とくに作中の露美の挙動の突飛の無さは、現実的にはありえないようなおかしさがあって、下手をすると恋愛ストーリーをぶちこわしてしまいます。しかし、それでも二人で力を併せて、頑張っていこうとするこの小説は、たしかに著者夫婦と同様、いびつなかたちをしております。そのいびつさを楽しんで戴けたら、作者冥利に尽きるところで御座います。



 表紙は、デザイナーの赤阪正敏さんに描いて戴きました。なかなか美しい抽象画で、著者のうちの壁に、本画が飾ってあります。貧乏な二人にしては、かなりの額を出費しましたが、それだけの価値のある絵画だと思います。




 本の冒頭にある短歌は、大坪が一時憧れていたシンガーを詠んだ一首です。二人は、入籍するときに、届けに記入しなければならない、同棲開始日もしくは結婚式の日という欄について、山口と富山の遠距離恋愛であったために、両方とも該当する日がなく、お金も無いので、そのアーティストのコンサートの会場で、指輪を交換して結婚式に代えるということにしました。

 指輪も遠距離ではなかなか買うことが出来ず、大阪でのコンサートだったのですが、当日に出逢ってすぐ大丸デパートに行って、cocoshnikのペアリングを買って、会場のオリックス劇場に向かいました。コンサート中に、ラストの曲で指輪交換を果たしました。そういう、思い入れのある結婚式の短歌が、冒頭の短歌です。  作中にも、透と深奈美の恋歌の送り合いがありますが、短歌は不得手なので、あまりうまくありません。しかし、雰囲気は伝わるのではないかと思っております。

 なかなか、著者が妻と巡り会っただけの運命の数奇さは描けていないのですが、それでも露美のおかしな創作活動とその力作の雰囲気や、透の若き日の失恋とその苦労の日々については、ある程度伝えることが出来るのではないかと思っております。  一風変わった恋愛小説です。ぜひ、みなさん、手に取ってみて下さい!!


大坪命樹/文藝同人無刀会

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