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どうも、おもしろDIY装丁サークルです。

■装丁ありきの小説作り

こんにちは、装丁から物語を考えて本を作る、おもしろ装丁小説同人サークル「アールワークス」です。


低予算でおもしろびっくりな装丁の本を作る!をモットーに、印刷製本以外の加工をDIYしては、毎回「保管に困る」「読みにくい」と地道に支持をいただいて7年ほどになります。


今回はこの場をお借りして、アールワークスの頒布物から「テキレボEX2で買える」「比較的保管も読書もしやすい」特殊装丁本をご紹介します。




■フェルト張りにスリット×異次元との「境界」の物語


【表紙】

 用紙:マシュマロ 180kg /印刷:オンデマンドモノクロ・トワイライトPP

【本文】

 用紙:書籍用紙ホワイト 69kg /印刷:オンデマンドモノクロ

【印刷所】

 コミックモール











「空」を描くことに執着した男たちの「境界(marginal)」とは。ざらついた読後感のSF短編。

笑っちゃうくらい、なにも伝わらない表紙画像ですね……

虹色にきらめくトワイライトPPを、2mm厚のフェルトで完全に覆っています。

タイトルは中央のスリットをこじ開けてなんとか覗ける程度。

異次元の境界を開くことができる主人公に、フィジカルに共感していただくための仕掛けです。フェルト貼っただけでしょ?と思われるかもしれませんが、手にした瞬間の違和感が予想以上です。

文章や展開もどこか引っかかりを覚える構成になっています。


平滑な紙にスリットの入った厚手フェルトを、皺が寄らないよう生地を伸ばさないよう剥がれないよう貼りつける、という今後使わないであろうスキルを手に入れました。

新しい本を作るたび、こういう「一期一会スキル」が増えていきます。


■レトロなチケットを模した本×古い劇場の物語


【表紙】

 用紙:里紙 130kg もみじ /印刷:孔版2色(灰+ブルージーンズ)

【本文】

 用紙:アドニスラフ 59.5kg ピンク /印刷:孔版1色(ブルージーンズ)

【印刷所】

 EditNetプリンテック


維新後より丘の上に建っている劇場「グレイシアター」。時代とともに人々と歩む劇場の姿を、二人の作家が克明に重厚に描き出す。

明治~令和にかけて、震災や戦争を乗り越えて残った劇場そのものが主役の、連作集です。

古い劇場の歴史感を出すため、レトロな印象の孔版印刷を使用しました。色味を抑えたインクと、粗いテクスチャの紙で雰囲気を演出しています。

また、特定の公演のチケットではなくシアターの「入場券」を模した表紙になりました。ミシン目でもぎられたイメージにするため、横長の判型で小口側をギザギザに切り落としています。


納品後の加工としては「表紙をカットする」だけなので、アールワークスではかなり「正気」の部類に入る本です。中身がどうかは、実際にご確認ください……


■赤い糸で封印された本×絆を断ち切り秘密を暴く物語


【表紙】

 用紙:ヴィンテージゴールド 107kg カッパー /印刷:オンデマンドモノクロ

【本文】

 用紙:書籍用紙ナチュラル 60kg /印刷:オンデマンドモノクロ+フルカラー口絵

【カバー】

 用紙:上質紙 180kg /印刷:オフセットフルカラー

【印刷所】

 本体、カード:コミックモール

 カバー:グラフィック






あなたが断ち切ったのは、だれの運命なのでしょうか。

糸を切らないと読めない本です。切ってしまったら、もう本は最初の状態には戻れません。

「もったいなくて切れない」「読者に本を破壊させるとは鬼の所業」「なぜよりによって赤い糸なのか」と、読む前から最もご意見をいただいた本です。

糸を固定するためにあれこれ細工した結果、表紙がほぼハードカバーになりました。

タイトルの「I am GHOST」と書かれたカードは、そのまま作中の小道具でもあります。アンティークな壁紙をイメージした表紙に、ピンで留められています。


レトロファンタジー「蔵書票シリーズ」の世界で、連続殺人事件に巻き込まれていく司書たちの物語。絡み合う事件の謎と、彼らが囚われているしがらみを、赤い糸が象徴しています。つまり糸を切って物語を読むことで、事件を解決して彼らを未来へ送り出すことになるのです。


「なんとか切らずに読む方法はないのか」と訊かれますが、指を痛めるほど力を込めて割ピンを固定したので絶対ムリです。あきらめて切ってください。



■標本箱モチーフの本×物語を標本に見立てた掌編集


【表紙】

 用紙:ファーストビンテージ 135kg アッシュ /印刷:孔版2色

【本文】

 用紙:淡クリームキンマリ 67kg /印刷:孔版色替え2色

 ラベル:純白ロール 30kg /印刷:オフセットモノクロ

【印刷所】

 本体:EditNetプリンテック

 ラベル、カード:グラフィック


この図鑑に収められているのは、未だ知られていない「生物」の欠片です。くれぐれも取り扱いにはご注意ください。

300字SSアンソロジーですが、個々の作品のインパクトが強く、ただ並べてしまうと印象を打ち消し合う危険がありました。編集前からすでに取扱注意。

「架空生物」がテーマだったので、SS自体を標本の断片と捉え、標本箱を作ることにしました。


標本「箱」は、正方形という判型と、タイトルのネームプレートで表現しています。

表紙をくりぬいて、裏からPPシートとタイトル用のカードを貼り込みました。

本文は見開き片側に作品、もう一方にタイトルや作者を記した「標本ラベル」を1枚ずつ(1冊につき20枚!)貼りつけています。


ラベルに使用した紙が薄すぎて、通常のテープや糊だと貼り跡が透けたり水分で波打ったり。適した接着素材を求め歩いた結果、異常に糊のストックが増えました。


■折り紙モチーフの本×折り紙だらけの物語


【表紙】

 用紙:キュリアスIR 146kg ホワイト /印刷:オンデマンドフルカラー

【本文】

 用紙:書籍用紙ホワイト 69kg /印刷:オンデマンドモノクロ

【カバー】

 用紙:純白ロール 30kg /印刷:オフセットフルカラー

【印刷所】

 本体:コミックモール

 カバー、折り紙:グラフィック





おれとおじさんのささやかな秘密――

おかげさまでゴブガリ案件(残部5以下)となりましたので、今回のEX2で最後の頒布となる予定です。


流行りの長いタイトルをつけるなら「下宿先の大家がLINEを使わず折り紙に用件書いて渡してくるんだが」となるでしょうか……

この「メッセージが書かれた折り紙」を再現するために、ひたすら折って開いて貼っての繰り返しでした。本が入っているケースも「鶴のポチ袋」のアレンジです。

基本的に折り紙は本文の再現ですが、ラストでほんとうに折り鶴を開かないと読めないメッセージがありますので、がんばって開いていただきたいと思います。


この本で一生のうちに作る折り紙の規定量を超えてしまったのか、お菓子の包み紙などで手慰みに鶴を折る習慣がなくなりました。


■テキレボEX2限定セット


ここで紹介された本、全部気になる!実物を手にしてみたい!という方のために、テキレボEX2限定のセットを作りました。

残部僅少の『電波干渉』のみ含まれませんが、あとの4冊は確実に入手できるセットです。お忙しい方もお気軽に、ポチっと。




 

どれを買うだの買わないだの面倒だから全部いただくわ!という石油王には、アールワークスの本全部入りの「富豪セット」がおすすめです。

しばらくは読むものに困らないことをお約束します。

『電波干渉』だけは別途カートに入れてくださいね。


ここだけの話ですが、実は装丁だけじゃなく小説もオススメなんです。



■再版は「できません」

今回ご紹介した本を含め、「普通の本より在庫がかさばる」「資材がもう手に入らない」「工程の煩雑すぎて再現が難しい」などの理由で、いずれも完売しだい頒布終了となっています。本来の装丁を抜いた形での再録などはありますが、そのままでもう一度作ることはありません。

少しでも興味を持たれた方は、在庫があるこの機会によろしくお願いします。


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