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【甘露からのおたより】見た目も中身もおいしい物語を


甘露 草群鶏です。

ご存知の方はいつもありがとうございます、初めましての方はこれからよろしく!


なにを隠そう、「装丁まとめ企画」主催にございます。

紙の本をつくるために物語を書いているといっても過言ではない、

それくらい、書籍の装丁を愛でるのが好きです。


とはいえ、自分で本を作るとなると、まるで自由にとはいきません。

毎度のぎりぎり入稿、心もとない予算、そもそも物書き歴が短いのでどれだけ手にとっていただけるかわからない、といった事情も絡み、限られた条件の中で仕様を決定するわけですが

何度やっても超楽しいです。

きっと死ぬまで本作るんじゃないかと思います。

いや、死んでからも作ってるかも。製本ゾンビ。害がなくてよいですね。


 

表紙をつくる


世界観の違う3つの物語。

いずれも、この秋冬の新刊です。


物語のアウトラインが決まったら、まず表紙を作ってしまいます。

モノとしての本が好きだから、そのほうが書き上げるモチベーション上がるんですよね。


 

●あいしかたがわからない


初めて恋愛を書こうと試みました。

私が書くと、なんか変なヤツばっかり出てきますね。


「ルーツの違う二人がいかに惹かれて歩み寄っていくか」に焦点を当ててるので、

恋愛ものとして読むと物足りないかもしれません。

収録している2編とも「感覚や認識のズレ、ちょっとしたすれ違いから生じる戸惑い」を描いているので、そのへんのおかしみを表紙にもあらわしたかった。


ので、こうなりました。




「相手のことがなんだかよくわからない」かんじをプリズムのイメージに託し、

幻惑されるけれど、でもなんだか楽しそうなようすを表現しました。

紙も凹凸のある「エスプリVエンボスアラレ」でぽこぽこしています。

クリアPPのせいでちょっと埋まっちゃったけどな……保存性重視したので仕方なし。


他人と仲良くなるってわけわかんないけど面白いよね、っていうメッセージを込めた表紙です。


 

●魔法使いの弟子


苦労性の弟子と癖のある大魔法使い、そのまわりのお話。

もとはTwitter300字SS「鞄」で書いた掌編から広がった物語です。

両手を広げたら壁についてしまうような、暗くて窮屈な屋根裏部屋。これからの伸びしろを感じさせるようなイメージで作った表紙です。





実は、背景は写真素材を加工したもの。クリップスタジオでイラスト風にして、色をすこしいじりました。

人物イラストと線の太さを揃えたので、いいかんじに一枚絵になりましたね。

詐欺!!


屋根裏の仄暗さを出したかったのと、濃色ベタなのではがれ防止でマットPPかけてもらいました。

よ、良い〜。

狙い通りの効果が出て大満足です。


 

●銀杏堂異聞


岩波少年文庫が好きです。

岩波少年文庫が好きです。

(大事なことなので2回言いました)


特に、昔のもの。

図書館にたまに並んでいる上製本のものも、函入りのものも好きですが、

布目の手触りのものがもっとも好きです。

母の蔵書にあったので、だいぶ昔ですね。へたすると50年くらい?


表紙用紙はOKエンボス布目の予定です。

なぜ予定かというと、この記事書いてる時点でまだ入稿していないからです。

安心してください、間に合わせますよ。



「銀杏堂」の顔はあまり具体的なイメージをつけたくなくて、あえて銀杏のモチーフだけにしました。

本屋は出てくるけど本屋メインの話ではないし、一応主人公はいるけど群像劇だし。

ちょっと焦点ぼやかしたい(ごまかしたいともいう)ので、ふんわりと。

デザインソースも完全に昔の岩波少年文庫です。

オマージュってやつです。とかいって、訴えられたらどうしよう(杞憂)。


 




フォントのはなし


貂明朝がすきです。

Adobe Fontsにいます。

ちょっと癖が強いのですが、ぐにゃぐにゃして動物的でとてもいいです。


草群の文は「どこかひねくれてウケを狙おうとしている」ところがあるので、

そんなところが気が合うのだと思います。


あと、見出しなんかはヨタGがすきです。

かわいいけどかわいすぎない、ぺたっとしたポップさが良い。


 

扉のはなし


はなし、っていうか見て欲しいだけなのですが……。


表紙をめくって、物語に入るまでワンクッション。

もういっぺん同じこと言うのかよ! と思わないでもないですが、

扉があるって世界観の導入にとってけっこう大事だと思っています。


というわけで、見て!



 

おわりに


装丁まとめ企画なんてやっておきながら

自分の本を間に合わせるのに精一杯でぜんぜん装丁盛れないのですけれども、

箔押しとか、浮き出しとか、手製本とか、やりたいことはたくさんあります。


物語を書くことは、私にとって「大事にしている思いや考えを見せること」で、

たとえば河原で見つけたきれいな石を見て見てしたときに、

「なんだ、ただの石じゃん」

と言われたら無言でガチ切れするタイプの人間なので(ははは、面倒だな)、

自分の物語がどこかでちゃんとかわいがってもらえるよう、おしゃれに包んで送り出してやりたいなあといつも思うのです。


まずは、ゆとりをもった入稿からですね。

いやあ耳が痛い。



(草群鶏/甘露




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